大判例

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東京高等裁判所 昭和31年(ネ)2587号 判決

当時被控訴人中村昭八は東京都にある丸福運輸株式会社の臨時雇の自動車運転手で常に出勤することなく、時たまその実家である山梨市の実父被控訴人中村重雄方に帰つて中古自動車販売の仲介等をしていたが、同人所有の本件自動車は、被控訴人中村昭八の兄中村昭六が運転し、被控訴人中村昭八にはその使用を許さず、また肥料販売業の手伝をもさせなかつた事実明かである。右認定に反する甲第五号証の記載は採用しない。次に当審証人中村たけ代の証言ならびに原審における被控訴本人相川重治、原審及び当審における被控訴本人中村重雄の各陳述を綜合すれば、昭和三十年九月四日被控訴人中村昭八は同相川重治から依頼を受け、その翌五日早朝同中村重雄に無断で本件自動三輪車を使用し果物類二十数箱を平野村山中に運搬し、同地において売捌き午後六時頃空箱と売残りの梨数箱を積載して同地を出発し、前記のように富士吉田市に向い途中本件事故を起したのである。被控訴人相川重治は右運搬についてガソリンを提供したほか、謝礼として金五百円を同中村昭八に支払つたのであるが、三輪自動車運転にあたつては助手台に便乗し、同人の運転につき注意を与えたりなどしていた事実を認めうる。右認定に反する甲第六号証、原審証人加藤英三、当審証人上原謹一、小俣繁蔵、加藤英三、宮下源吾の各証言は採用しない。その他右認定を左右するに足る証拠はない。右認定の事実によれば、被控訴人相川重治は前記業務のため同中村昭八を使用したものであつて、本件事故による損害は被控訴人相川重治の被用者である同中村昭八がその事業の執行につき控訴人に加えたものにほかならない。

(奥田 牧野 青山)

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